日時:2024/1/20/土/16:30~17:30
場所:GOALOOK学習塾
講師:高橋 航大(Takahashi Kota)
GOALOOK学習塾講師
出身:東京都立桜修館高等学校 卒業
所属:京都大学 文学部 人文学科 三回生
専門:歴史社会学
普段何気なく使っている「あたりまえ」という言葉。
いったいいつから、誰が決めて「あたりまえ」になったのでしょうか?
日々の生活で感じる「あたりまえ」を、一度立ち止まって考えてみませんか?
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講義構成
あなたはたけのこの里派?きのこの山派?
まずは各グループごとに、○○派、××派に分かれるものを挙げていきます。
真っ先に挙がったのはきのこたけのこ、犬猫などの定期的に争いが産まれる永遠のテーマたち。
早速各派閥ごとに争いが起きたりもしながら、色んな例が挙がりました。
一部ご紹介。
きのこ vs たけのこ
iPhone vs android
パン vs ごはん
犬 vs 猫
アウトドア vs インドア
スカート vs ズボン
文系 vs 理系
布団 vs ベッド
眼鏡 vs コンタクト
皆さんはどちら派でしょうか?
さて、今挙げてもらったものを
①生まれた時からなっていたもの
②いつの間にかなっていたもの
③自分で選んでなったもの
に分類していきます。
たけのこ派の方々、いかがでしょうか?
生まれた時から俺はたけのこに運命づけられていた!という過激派の方もいらっしゃるかもしれませんが、大抵の人はどちらも食べた上で選んでいるはずですよね。こちらは③かな?
ご飯派の方々どうでしょう?
これもどっちも食べて選んでいるものだ!という人もいれば、家に田んぼがあって物心ついたころからご飯が当たり前だった、という人も。
布団派 vs ベッド派だと、そもそも考えたことなかったという声や、保護者の方は結婚してからこの派閥争いがあったという方もいらっしゃいました。
犬猫も実家で飼っていたから自然と~という意見も。
人によって選ぶ基準もそうなった経緯も当然のことながら幅があります。
自分にとってはあたりまえのことでも、実は他人からみたら全くあたりまえではなく驚く様子もたくさん見られました。
自分では疑ったことも考えたことすらもないようなあたりまえでも、人の数だけその基準は存在する、ということが少しずつ分かってきました。
ここで軽く小括。
「あたりまえ」には、
①生まれた時からそうであるもの=生得的
②いつの間にかなっていたもの=習得的
③自分で選んだもの=選好
の三パターンがある!
男と女の「違い」
さて、「あたりまえ」といっても三種類に分類される、ということを学んだうえで次は今までやってきたことを男女にあてはめて考えてみます。
「男」と聞いて浮かぶことは?「女」と聞いて思い浮かべることは?
昨今なにかと問題視されている話題ではありますが、一度その是非は置いておいて実際どういうイメージがあるのか考えてみましょう。
最初に出てきたのはトイレの配色でした。赤は女性で青は男性、というイメージはやはり世間に染みついているように思います。
どうしてもスカートを男性が履いているとまだまだ珍しく思われることも挙げられました。ランドセルの配色もそうですね。
男性の方が背が高かったり筋肉がついているイメージとか。
生徒のお母様の中には、「男子校は綺麗そう、女子校は乱雑。」と言っていた方も居ました。(個人的には真反対のイメージがあったので、ここでも「あたりまえ」の認識の違いには驚かされました。)
次にまた同じようにこれらを生得的、習得的、選好の三つに分けてみましょう。
背の高さや筋肉はいわゆる生物学的特徴の一つで、基本的に変化させることはできませんね。
それに対して赤は女性、青は男性って、別に決められている訳とかでは全くありませんよね。
とはいえ自分で選んでそう思ってる!という方はほとんどいません。(何度も言うようですがその是非は置いておいて、です。)
スカートやランドセルも、なんとなくとかいつのまにかという方が大半です。
いつからそう思い始めたか、ってなかなか答えられる人いないんじゃないでしょうか。
他にもいろいろ考えられましたが、分類してみるといつのまにかなっていたもの=「習得的」なものが大部分を占めていました。
では最後に、そのイメージはどこから始まったのかについて考えてみましょう。
前述の男子校、女子校の話で考えてみましょう。
私自身、なんとなく女子校って綺麗そうだなというイメージを持っていました。逆に男子校ってなんだか乱雑そうというか。
それに対して真逆のイメージを持っている保護者の方になぜそういったイメージになったのか聞いてみると、
「出身が女子校でその経験からというのと、男子校へのイメージは完全に学生時代に読んだ少女漫画の影響」
とおっしゃっていました。
そういわれると、私の女子校へのイメージもドラマなどから影響を強く受けているように思います。
男子校や女子校などの出てくる漫画やアニメ、ドラマ・ゲームなどを見たことのある人も多いのではないでしょうか?
思えばそういった創作物の中でも、やはり男性は基本的にスカートを履きませんし、ランドセル等も黒などが多いですね。
現代社会において、これらのメディアは全く見ずに過ごすことはほとんど不可能といっていいほど我々の生活の一部と化しています。
それこそあたりまえすぎて、それらの影響を受けざるを得ない状態です。
習得的な「あたりまえ」のイメージはかなりメディアに影響されていると言えそうですね。
そしてまたそのメディアを作り上げていく人もまた、それ以前のメディアを通して「あたりまえ」を内面化し、無意識のうちに「あたりまえ」として拡散していっている訳です。
それらのメディアなどの様々な情報に触れながら生活するうちに、我々もまた自分だけのあたりまえを作り上げていっているのです。
社会学の観点から
今までで、「あたりまえ」というものは実は全く普遍的なものではないことが分かりました。
あたりまえの中にも種類があるし、その基準も人によっても違いますしね。
この「あたりまえ」を見つめなおし、コミュニケーションというものを捉えなおすことで、「あたりまえ」を押し付けてしまうことを防ぐということを社会学では目指しています。
自身の「あたりまえ」は絶対的なものではなく、さまざまな要因によって作られた自分だけのものである、と捉えることが出来れば、他者への差別を防ぐことが出来るのではないでしょうか。
まとめ
普段何気なく使っている「あたりまえ」という言葉。その言葉通りの意味とは裏腹に非自明的なことばかりに使っているということが分かりました。
世の中には思い込みや刷り込まれていることが多く、それを認識することが他者との関係を築いていくための第一歩ということを考える良い機会になったのではないでしょうか。
高橋先生ありがとうございました!
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